先日、サッカーの試合データに基づいて画像や動画といったコンテンツをリアルタイムに自動生成するテクノロジーを湘南ベルマーレに提供するに至った。
湘南ベルマーレ公式twitter JX通信社コンテンツ自動生成システム導入のお知らせ今回のシステムでは、データをリアルタイムに画像、動画へ変換するテクノロジーを提供している。おそらく国内でもほとんど事例のない自動生成の事例だからか、おかげさまで多数の反応をいただいた。
湘南ベルマーレ公式twitter JX通信社コンテンツ自動生成システム導入のお知らせ https://t.co/fikJDJ5rZM
— でろりん (@derorinkuma) 2016年2月24日
自動生成だと…?(゚A゚;)ゴクリ
どの程度のクオリティのものが自動生成されるか楽しみです。
本エントリでは、そこに至るまでの経緯と、実際に何が起こったかをつらつらと書く。
何をしたか
こんな画像を自動生成した。
明治安田生命J1リーグ1stステージ第1節、アルビレックス新潟戦スターティングメンバー! pic.twitter.com/9Na7PlJkkd
— 湘南ベルマーレ (@bellmare_staff) 2016年2月27日
湘南ベルマーレ、77分選手交代。#bellmare #新潟戦 pic.twitter.com/x3xECsxJSL
— 湘南ベルマーレ (@bellmare_staff) 2016年2月27日
GOAL!!NO.23高山薫!!90分+5分。#bellmare pic.twitter.com/vS3T6f7chL
— 湘南ベルマーレ (@bellmare_staff) 2016年2月27日
何が起こったか
とにかくポジティブな評価がたくさん集まった。載せきれないので以下抜粋。
ベルマーレの画像つき速報いいな しかもそれ自動生成なんだ・・・浪漫だな
— ながミサき (@piromisaki) 2016年2月27日
おお、スタメンがムービーだよ https://t.co/BDhFDapEyM
— スーーーシーーー (@susisusi_) 2016年2月27日
かっちょいい! https://t.co/g9f64XBOvj
— はまちさん (@HowMuchHamachi) 2016年2月27日
動画をつけるとは… https://t.co/N6IzAjI0UD
— hiro (@hiro) 2016年2月27日
素晴らしい!
— 野田恭平 (@kyoheynow) 2016年2月27日
サポーター思い!!#bellmare https://t.co/XaSjCTTWME
マリノスもやろうよ、これ https://t.co/GTfwOHjeXP
— akira (@akiras21_) 2016年2月27日
分かりやすくて良い https://t.co/l3zcCsIYFH
— へんど (@ynwawnwa2) 2016年2月27日
ソーシャルメディアに予算を割けるチーム、割けないチーム
こういう事例がなかなか増えないのは、予算の制約によるところが大きい。
例えば、浦和や名古屋などのチームには恐らく資金力があるためか、ソーシャルメディアでの画像利用が比較的進んでいる印象がある。
誰がどのようにやっているのか詳しく知らないけども、いずれにしても相応の時間やコストが必ず発生するため、本腰入れて取り組めているチームは少ない印象だ。
とりわけベルマーレはJ1のなかで屈指の財政難であり、当然ソーシャルメディアなどにはコストを割けない状況だ。
それでも、今やソーシャルメディアにおいて、画像や動画はもはや必須だ。
彼らの思いを正確に表現すれば、ベルマーレ広報の猪狩さん曰く「やりたいと思っていたけどお金がなく実現性に乏しかった」らしい。こうしたチームは他にもたくさんあるに違いない。
コストを「ゼロ」にする"産業革命"
厄介なことに、ソーシャルメディアの活用は、それ自体が直接収益に繋がるものではない。
間接的に作用してチケットを買ったり、グッズを買ったりしてもらうことはあるかもしれない。それでも、直接的にお金に繋がるものではないから、サッカーチームに限らず企業ですらもコストをかけにくい部分だと言える。
これが仮に、コストが「ゼロ」ならどうなるだろうか。今回のテクノロジーで行ったのは、そのコストの抜本的な削減だった。
コストがかからないから、いつでもどこでもコンテンツを作り出せる。誰の手も介在しないから、思いついた瞬間にコンテンツを活用できる。普通、デザイナーやクリエイターに任せて云々するところを、すべてスキップできる。しかも、生成にかかる時間はものの0.1秒。
今回のコンテンツ自動生成は、「コンテンツ作成にはコストがつきもの」という常識を覆すものであり、やや大げさに言えばかつての産業革命に重なるところがある。
これがあれば、資金力が豊富なマンCなどと同じ水準でソーシャルメディアを活用できるようになることを考えると、革新的だと思う。
画像や動画こそ自動生成すべき理由
画像や動画があることで、ソーシャルメディア上で拡散力が飛躍的に上がる。これにより、あまりチームに関心のない潜在的なユーザーへリーチできるようになる。
スタジアムに来たことがない、あるいは久しく訪れていないユーザーがタイムライン上で受動的にスタメンや試合速報を目にしたとき、これまではスルーされていた投稿を「おっ」と気に留めてくれるだけでなく、感覚的にカッコイイーナーと思ってくれれば大きな成果だ。
また、こうしたリッチなコンテンツを作るには、当然ながらコストがかかる。このように、コンテンツのフォーマットがテキストから画像・動画へとシフトするにつれて、自動生成の必要性が増していく。
テキストなら最悪メモ帳があれば誰でも書けるが、画像や動画の場合、その多くは専用ツールが必要であったり、デザイナーや動画クリエイターに発注する必要が伴うためだ。
こうしたコストのかかりやすいコンテンツこそ、自動生成する真の旨味がある。
もちろんすべてのコンテンツを自動生成できるわけではないけれど、部分的に自動生成するなど工夫することで、手作業でやるよりも圧倒的に早く、コストも削減できる。その最大公約数的な自動化できる部分を見極めるノウハウが必要になっていくだろう。
コメント
コメント一覧 (2)
2戦目、相手チームエンブレム間違いのバグ。
このバグ対応を行うスタッフの労力・正しい情報に差し替えるまでの時間。コストがかかっていない、とは言えない。
ご指摘にありましたように、何かしらの対応・確認コストが発生するということを考えると、ソーシャルメディアの運営自体すべてを完全には自動化できませんし、私もそこを丸ごとコストゼロにできた、と言うつもりは毛頭ありません。主旨はあくまでも「コンテンツ生成に関わるコストがゼロになったこと」です。
(もちろん、そのコンテンツ投稿後に目視で確認するコストが…等と言いはじめるとそれすら純然たる「ゼロ」ではないわけですが、記事同様、便宜的に「ゼロ」と言いきります)
なお、今回の件は詳しくは言えませんがバグではなくヒューマンエラーによるものでした。今後はシステムを改修して、そういった事象が発生しないように改善できればと考えています!
ありがとうございました。