IT業界には毎年トレンドがある。今はチャットボットやAIがホットなネタだ。こういう分野にはお金が集まるし、その分野で起業しようとする人たちも当然いる。

そこに「ポケモンGO」というゲームが突如あらわれた。しかも爆発的に流行り始めている。チャットボットよりよっぽどポケモンのほうが重要なトピックスになる と思って久しぶりにブログを書くことにした。

ジャンルはゲームでも、ポケモンGOの正体は「位置情報に基づいたプラットフォーム」だ。所詮ゲームだから俺の分野には関係ないや…なんて見ていると痛い目に遭う。

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ポケモンGOは位置情報を活用したスマホアプリだ。

海外では日本に先駆けリリースされており、公開間もなく他アプリを圧倒するユーザ数と滞在時間を誇っている。かつてないほどのペースでその存在感を高めている(7月15日現在、まだ日本では提供開始されていない)。

これほど急激にユーザ数を集めたアプリは前例がないし、しかも滞在時間がバケモノ級だ。スマホアプリの場合、結局は滞在時間の奪い合いになる構図が一般的だが、その点においてポケモンGOは他の追随を許さない。

世界各国のメディアの報道を見てもここ最近はほんっとうにポケモンネタばかり。リリースして間もなく大きな社会現象となっている。こうした状況を見ると、「1つのゲームが流行ってるだけ」だとはとても思えないわけだ。

参考: 24 pictures that show how Pokémon Go is changing the world

ユーザボリュームもさることながら、冒頭に書いたように、位置情報を利用している点で現実世界への影響が大きい点も特徴的。

ここまで世界で爆発的に広がり、社会や経済、個人の行動様式に影響を与える事例が果たしてどれだけあっただろうか。

すでに歴史的なプロダクトへ仲間入り

これまでのIT史のなかで、とりわけここ10年を振り返ると、歴史的なプロダクトと言えるのはせいぜい数個程度だろう。その中でポケモンはすでにその仲間入りを果たしていると認識すべきだ。

歴史的なプロダクトの例を挙げると、スマートフォンの先駆け的存在であるiPhoneはその1つと言えるだろう。現存するWebサービスの多くはスマホが普及しなければ存在しえないものだ。スマホによって僕たちの生活は確実に変化した。

その他にもtwitter、Facebook、Amazon…歴史的なプロダクトはこれまで新しい市場を生み出し、市場を壊滅させてきた。彼らがそうだったように、ポケモンGOはビジネスに地殻変動をもたらすことになる。だからIT業界の人にとっては要注目なのだ。

超強力な集客力+行動ログ

ポケモンGOの特徴は位置情報をフル活用している点にこそある。

ポケモンGOの世界では、どこにポケモンを出現させるかによって人の動きをいとも簡単にコントロールできてしまう。特定の場所にたくさんポケモンを発生させるだけで人が集まってくる、という具合だ。これが金にならないわけがない

飲食店やイベント、町おこしに至るまで、使いみちはさまざまだ。集客プロセスにおいて強力なチャンネル・商流を生み出すことになることから、広告業界やPR業界も最大の関心を持って刮目しなければならない。

集客だけでなく、ポケモンGOによって人間の動きがデータ化されることによって無限の可能性が生まれることも重要だ。ユーザがいつどこにいたのか、という情報はあらゆるジャンルのプレイヤーがお金に換えられる、まさに「金脈」とも言える。

この集客力と行動ログ基盤こそがポケモンGOの真の強みだ。

参考: Pokemon GO が、米国の夕方の公園の風景を一変させていた

ゲームを超えて「位置情報プラットフォーム」へ

これほど多くの国々でたくさんのユーザが滞在時間をもたらす位置情報サービスなのだから、当然プラットフォーム化するんじゃないかと思い至る。

もしかしたらポケモンがプラットフォームになるのは違和感があるかもしれない。そもそもゲームがプラットフォームになるのか? と。

今となっては笑える話だが、LINEが流行りはじめたとき、プラットフォームビジネスが成立するかどうかはIT業界内でも意見が割れていたのだった(みんな忘れているかもしれないが)。結果的には、誰もが認めるプラットフォームになった。

過去、他サービスがそれぞれの方法によってプラットフォームを成立させてきた事実に目を向ければ、ポケモンGOもまた何らかの方法でプラットフォーム性を身につける可能性が高い。

ポケモンGOの場合、企業が広告費を投じゲーム内でPRを繰り広げることによって、徐々にプラットフォームと化していくだろう。

それが仮にいまは想像できなかったとしても、こればかりは歴史が証明していることだからしょうがない。

亜種が乱立し位置情報分野が活況に?

位置情報をベースにコレクションを集めて陣地を奪い合う…というアイデアは、何にでも応用できる。だから「亜種」のようなゲーム・サービスがめちゃくちゃ出てくると思う。

例えば、全国各地でイケメンを採取する「イケメンGO」のようなゲームが乱立しそう。オッサンGOでもいい。もしかしたら1年後にはたくさんの位置情報系アプリがAppStoreに並んでいるかもしれない。

ポケモンGOのヒットによって位置情報系がフォーカスされれば、IT業界のトレンドは位置情報に向くだろうし、必然的にその分野にお金が流れることになる。

「ポケモンがすでにあるなら他に位置情報系サービスは出ないんじゃない?」と思う人もいるかもしれない。でもそうはならない。今までもそうだった。

グルーポンが流行ったとき、twitterが流行ったときには大量に亜種が発生した。そして、往々にしてその分野が決まって「トレンド」になってしまう。市場原理なんてそんなものである。

未来を想像するのは難しい、でも…

ここまで書いたものの、まだ日本でリリースされていないこともあってどこか現実的に捉えられない部分がある。「流行ると言われても納得できない」人がいても自然なことだ。

でも、iPhoneが流行る前の評価を記事にしたことがあったが、1年もあれば消費者の意識はかなり違ったものになる。今想像できないことでも、1年後には当たり前のものとして受け止められる可能性が大いにあるのだということだ。

だから、こんなものは流行らないと端から否定するのではなく、多角的な視野と想像力を持って触れてみることをおすすめしたい。そっちのほうがワクワクするし。

いずれにしても、数年後の未来には、およそ僕らの予想し得ない新しい要素が数多く存在しているのは確実なのであって、このポケモンGOがそのうちの一部になっている可能性があるのは紛れもない事実なのだから。

未来が現在と違うことを前提に「何が未来の構成要素なのだろう」と考えるのが、未来とのいい向き合い方かな、と常々思っている。